過去気候における評価2 過去のGCMシミュレーションによる検証

クロスバリデーションの次に、ダウンスケーリングアルゴリズム (データ制約を最大化するために、ダウンスケーリングに使 用する前に、通常、全観測期間を使って再トレーニングされ る)を全球気候モデル(GCM)の過去の入力に適用し、アルゴリズムの出力を 評価します。セクション4dで議論したように、ダウンスケー ルされた出力は、内部変動は観測値と同期していないため、観測値と直接比較することはできず、検証のための指標(例えば、クライマトロジーやバイアス)の統計的特性について観測値との比較します。幾つかの研究では、RCM がホストGCMに与える付加価値を測定します。これには、様々な指標(例えば、ETCCDI 指数-気温、降水量、干ばつなど、気候の極端性の様々な側面を測定するために使用される27の指標のセット)にわたってバイアスの減少を測定し、ホストGCMまたは/およびRCMのアンサンブルと比較して、経験的ダウンスケーリングによってもたらされる改善、すなわち付加価値を比較することが含まれます。同様に、Isphordingら(2023)が提唱したベンチマーキングフレームワークは、付加価値を評価するための同等のアプローチを提供します。これらは、特に降雨において、ダウンスケーリング戦略を評価するための貴重な資料として機能します。RCM エミュレータの場合、グランドトゥルースのRCMシミュレーションが利用可能であれば、直接的な評価が可能です(8a;1節の評価指標を参照)。

ETCCDI 指標: https://docs.esmvaltool.org/en/latest/recipes/recipe_extreme_events.html,
https://cds.climate.copernicus.eu/cdsapp#!/dataset/sis-extreme-indices-cmip6?tab=overview

コメント:過去100~150年間の観測データを用いてGCMの過去気候の再現性を評価できます。20世紀解析データ(20CR)などの観測に基づく解析データが整備されつつあり、今後はGCMだけでなく経験的ダウンスケーリングの気候変動評価に必須になるでしょう。限られた観測期間では極端現象などを詳細に評価することは難しいかもしれませんが、いくつかの重要な気候的特性の評価は可能です。また、経験的ダウンスケーリングでは、20CRデータを用いて過去の気象イベントの再現精度の評価が可能です。既存の手法では再現が困難であった現象が新しい手法により再現できるのか、統計値だけでなく様々な気象イベントの再現性についての比較評価が求められます。

Rampal, Neelesh, et al. “Enhancing Regional Climate Downscaling Through Advances in Machine Learning.” Artificial Intelligence for the Earth Systems (2024).

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