U-Net (エンドツーエンド畳み込みアーキテクチャ)

エンコーダを用いて特徴を抽出(畳み込み)し、逆畳み込み(デコンボリューション)処理を行い、入力画像と同じサイズの確率マップを出力します。U-Net アーキテクチャは、図4c に示すように、CNNアーキテクチャとはわずかに異なり、U字型の設計が特徴です。 これは、特徴抽出のための縮小パス (潜在空間ベクトルへの入力の次元を削減) と、抽出された特徴 (潜在空間ベクトル) から高解像度画像が生成される拡張パスで構成されます。 U-Net は、ニューラルネットワークを使用して最終的な高解像度出力を予測するのではなく、ダウンスケーリングに畳み込み層 (多くの場合、空間解像度を上げるためのアップサンプリング層) を使用します。 U-Net アーキテクチャと他のエンドツーエンド CNNアーキテクチャの主な違いは、長距離スキップ接続にあります。 ここでは、縮小パスの複数の段階での中間出力が拡張パスと混合 (または連結) されます。

コメント:U-Netはセグメンテーション(画像をいくつかの対象物に分類)手法の一つとして開発されたもので、画像の重なりや境界を識別することを目的としています。U-netはセマンティックセグメンテーション(全ての画素に対して予測する手法)の1つで、降水分布の空間特性をより明瞭に推定することが期待されます。例えば、前線帯の全体構造が不自然にならないように推定が可能になると想定されます。降水短時間予報(Nowcasting)にも多く用いられている手法で、最近の研究では前線帯の特性をかなりよく推定できるようになっています。しかし、細かく見ると1~2時間先の予報でも降水の範囲や強さにズレが生じており、降水予測の難しさが示唆されます。 最近では、ダウンスケーリングに採用した研究例も多くなっています。ただし、従来の統計的ダウンスケーリング手法である分位マッピング手法と比較してパフォーマンスの向上が見られないケースもあり、ダウンスケーリング手法としては発展途上なのかもしれません。

Rampal, Neelesh, et al. “Enhancing Regional Climate Downscaling Through Advances in Machine Learning.” Artificial Intelligence for the Earth Systems (2024).


Zhang, Y., Long, M., Chen, K., Xing, L., Jin, R., Jordan, M. I., & Wang, J. (2023). Skilful nowcasting of extreme precipitation with NowcastNet. Nature, 619(7970), 526-532.


Yu, Shuang, et al. “UFNet: Joint U-Net and fully connected neural network to bias correct precipitation predictions from climate models.” Artificial Intelligence for the Earth Systems (2024).

カテゴリー: 機械学習, 気候変動, 高解像度 パーマリンク

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