医療画像処理や衛星画像処理などで注目を集めている技術ですが、気候ダウンスケーリングでも適用例が多くなっています。SRダウンスケーリングは、降水量などの低解像度画像自体を単独で使用して高解像度画像を推定するPPの特殊なケースとみなすことができます。SRダウンスケーリング アルゴリズムは、PPなど従来の観測ダウンスケーリング手法 アプローチよりも優れたパフォーマンスを示すことも示されています。 Vandal et al., (2017) によって導入されて以来、様々な地域でSR ダウンスケーリングが実装されてきました。 SRでは、エンドツーエンドの CNNアーキテクチャを使用した場合に、パフォーマンスが向上することがいくつかの研究で示されています。残差層(Residual layers)とスキップ接続(skip connections)を使用すると、特により深いネットワークでの勾配の消失などの問題に効果的に対処できるため、学習の向上に貢献できます 。 さらに、エンドツーエンドCNNアーキテクチャ (U-Net など) が改善され、再帰層(recurrent layers)を使用してアルゴリズムが複数の時間的および空間的スケールにわたる気候の関係を学習できるようになりました。
コメント:画像内の特徴から関係性を推定して高解像度化する手法で、人が理解しやすい単純な因果関係よりも見た目の関係性を重視しています。理由はよくわからないが、こうすればうまくいくといった匠の技(職人の直感)のようなものを習得する手法と考えることもできるかもしれません。気候ダウンスケーリングについては、現在気候に適用する研究事例は多くありますが、気候変動(将来気候)に適用できるのか、極端現象の推定に利用できるのか、よく分かっていません。また、機械学習モデルが複雑になるほど、問題が起こった時に対処することが難しくなります。様々なケースに適用して、堅牢性、信頼性、透明性を示していくことが不可欠になります。
Rampal, Neelesh, et al. “Enhancing Regional Climate Downscaling Through Advances in Machine Learning.” Artificial Intelligence for the Earth Systems (2024).